<art-Link 上野-谷中 2004>主催企画


地域通貨「ふくふく」企画書

1997年にスタートし、今年で8回目を迎える<art-Link 上野-谷中 2004>では、「地域通貨」を導入することを計画しています。地域通貨は、日常生活において私たちが否応なく取り込まれてしまう経済活動を自分達の手に取り戻すための手段として、いま様々な方面から注目されています。

昨年の<art-Link 上野-谷中 2003>では、主催企画として「ガチャガチャ」を使ったプロジェクトを開催して大変な好評を博しました。作家の手作りモノを手に入れようと、会場のあちこちでワクワクしながら自販機のダイヤルをひねっている観客の姿は、いまだ記憶に新しいところです。一般の鑑賞者にとって、実際に作品を入手することはまだまだ敷居が高いと言わざるを得ません。気楽に楽しめるガチャガチャは、作品を手に入れる喜びを体験する方法として有効でした。

私たちはここに、作品を呈示する作家とそれを観る鑑賞者という、お決まりの「美術鑑賞」の枠を越えるコミュニケーションの可能性を感じています。作品を「見せる」「観る」という関係だけでなく、実際に入手することで、作家と作品に対するより深い理解と愛が生じるのではないか。また経済活動としてとらえなおすことで、その価値がより切実に感じられるのではないか。しかし実際の経済活動はあまりに複雑で、私たちを疎外するように感じられることがしばしばです。それなら<art-Link 上野-谷中>という場所で、作品をとりまく経済を等身大のかたちで体験するツールとして、「通貨」を設定することが出来ないだろうか。それがこのプロジェクトの趣旨なのです。

地域通貨を導入することで他のメリットも考えることができます。<art-Link 上野-谷中>は、これまで継続して開催してきたことで知名度が増し、近隣地域にとどまらず、全国からアーティストやボランティアが集まり交流する場となっています。それらの多様な参加のあり方や、各々の協力者の貢献を、具体的に評価する方法として地域通貨は有効なのではないか。とりわけ、埋もれてシャドウ・ワークとなりがちなボランティアの働きを、生産的な活動として位置付けなおすことが可能になるのではないでしょうか。またコミュニケーションに付随する「感情」や「行動」を、実際のお金に換算するのは抵抗が伴うものですが、自分たちの気持ちに近い通貨なら、それが可能になるのではないでしょうか。「円」ではやりとりできない気持ちを交わすための手段として、地域通貨を考えたいのです。

このプロジェクトにおいては、アーティストやボランティアたちと共同で、上野谷中界隈で使うことのできる地域通貨「ふくふく」を発行します。その流通が<art-Link 上野-谷中 2004>参加者の範囲を越えてどのように広がるかは未知数ですが、ひろく協力を求め、「ふくふく」という地域通貨を介して、アーティスト、観客、ボランティア、地域の人々がより積極的に交流することのできる機会をつくりたいと考えています。それによってアートの価値と生活の価値を交叉させ、アーティスト、企画者とその受け手の間の交流をさらに活発で創造的なものに変えていくことを目指しています。

<art-Link 上野-谷中 2004>実行委員会